最近、5Gに関する質問が多いので一度簡単に記事にしておこう、というのが今回です。結論から言うと5Gはほぼ必要ない、というのが現状です。その理由について今回は解説していきたいと思います。
5Gってそもそもなんぞや
これはスマホやモバイルWi-Fiなど移動式の通信規格のことです。今まで3G・4G(LTE)と来て次世代通信規格として5Gの提供が一部キャリアで始まりました。理論値で下り20Gbpsくらいまでは可能ですが、現状は4Gbps対応機種がほとんどです。実測で言うと速いエリアで、400Mbps 程度は出ているようです。とても高速で、かつ遅延も少ないのでとても優秀な回線ですが、まだまだ対応エリアが少ないです。そしてこれが今までの4Gなどに比べて、エリアの拡大が遅いです。それはユーザーにも提供キャリアにも、現状はあまりおいしくない、ということが理由にあります。その理由を説明していきたいと思います。
5Gは必要なサービスなのか
5Gは、「選択肢が増えた」という点ではとても大事なのですが、ほとんどの人にとっては不必要なサービスと言ってよいと思います。その理由を簡単に説明していきたいと思います。
①高速通信は大容量とワンセット
②移動可能な高速通信の必要性
③値段との折り合い
というのが主な理由でしょうか。それぞれ解説していきたいと思います。
①高速通信は大容量とワンセット
高速通信のメリットを説明するのに、一番良い例が4K動画だと思います。4K動画はとてもデータの量が多く、これを視聴するには高速な回線でないとストリーミングで視聴することはできないです。ダウンロードして視聴できる動画なら良いですが、2時間の映画を3時間~4時間もかけてダウンロードするのはちょっと変な気がします。これをストリーミング可能にするのが5Gや光ファイバーといった高速通信回線です。
それだけ大きなデータを扱うということは、当然ですがパケットもすごく消費するわけです。具体的にいうと4K画質で動画を見る場合、30分で10Gbくらいのデータ量になります。2時間の映画なら単純に40Gbほどです。これをスマホでダウンロードして観よう!という人はいないと思います。それはパケット通信の容量が、大きくても50Gbくらいが今は一般的だからです。
そして高画質な動画は、大画面で見るからこそメリットがあるので、そもそも出先でスマホで4K動画を見ることも考えにくいというのも理由です。
もちろん4K動画は一例ですが、高速通信を利用する場合、大量に通信するケースがほとんどなのです。これは現在の料金プランなどで考えると、メリットがあまりないのはお分かりいただけると思います。もちろん、今までのアプリのダウンロードなども高速になるので、メリットが無いわけではないですが、その分の料金差を考えると、現時点ではユーザー側にも提供側にも、正直メリットがあまりないのです。
②移動可能な高速通信の必要性
これも単純で、外出先で高速通信が必要になる事は、正直ほとんどないと思います。それはスマホの容量なども関係します。先ほど4K動画を2時間分だとだいたい40Gbくらい、というのを書きましたが、高速通信・大量のデータをダウンロードする場合、それを記憶させるスマホやPCの容量も当然必要になります。いまだとスマホでだいたい256Gbくらいが大きいものになると思います。少ないもので64Gbとかです。スマホに入りきれないほどのデータを、外出先でやり取りする可能性はとても低いのです。
PS4やPCのゲームをダウンロードする場合、今は15Gbとかざらにありますが、これをスマホの回線でダウンロードしようという人は少ないと思います。そういうユーザーは光ファイバーを契約します。
ケースとして無いわけではありません。例えば動画を配信している人は、外出先のスマホ配信が高画質でとてもスムーズに行えるようになります。しかしこれも一般的ではないかと思います。
③値段との折り合い
これは提供会社側から説明したほうがわかりやすいと思います。5Gを広く提供するためには、当然ですが設備を設置・交換する費用が必要です。アンテナなどの設備も勿論ですが、スマホの通信は受信したデータを光ファイバーで集約して相互通信を行っています。この光ファイバーもいろいろと種類があって、5G規格に合わせて光ファイバーを用意・維持するとなると、とてもコストがかかります。
もちろんそれらのコストは利用料から出てくるわけですが、MVNOとの競争もあり、どのキャリアも値段を高く打ち出せないという現状があります。そして通信は「最高速度ではなく最低速度が重要」というのが大きな理由です。
スマホでYouTubeを見るとき、途中で止まって見れないのはストレスになりますが、スムーズに見れていれば速度は皆さんあまり気にしないと思います。これが「最高速度よりも最低速度が重要」ということです。単純にしたいことがスムーズに出来る速度は必要だが、それ以上はあってもなくても一緒、ということです。
つまり、高速・大量通信を行う人は光ファイバーを契約するし、移動先で高速・大量通信を必要とする人はあまりいないし、そこにコストをかける人も少ないということです。そして提供キャリアもそれをもちろん理解しています。ですから5Gを広く提供するためには、多少高くても「パケットを完全に使い放題」にできれば契約するユーザーは増えるし、一気に提供エリアも増やせると思います。スマホで5G使い放題が出てくれば、テザリングでPCやPS4のダウンロードをすれば自宅に光ファイバーは必要ない、となりますから。
しかし今はMVNOの容量3GbプランにNURO光2Gbpsを合わせて契約しても、8000円以下という時代です。マンションなら光ファイバーとMVNOを合わせて5000円~7000円程度になってしまいます。そして光ファイバーのほうが安定的に速度が確保できるので、現状は5Gの、値段と品質の折り合いをつけるのがとても難しいのです。
これらが理由で、5Gは提供は開始されましたが、あまり提供エリアも広くないし、速度もそこまで出ない、というのが現状になってしまっています。
5Gはこれからの回線としては期待していい
これまでの説明を読んで勘違いしないでほしいのは、5Gが悪いサービスでは決してないということです。高速になる事はもちろん悪いことではないですし、高速な移動通信が可能になることで、新しいサービスの開発も可能になると思います。現状では普及もあまりしておらず、それを利用するサービスもないから必要性が薄いのは確かですが、新しい技術が可能にすることはこれからどんどん出てくると思います。5Gの特徴に、高速化はもちろん遅延が非常に少ないことが挙げられます。これを生かしたリアルタイムな相互通信が、今までにないサービスを生み出す可能性は高いです。
例えばですが、救急車に高画質なテレビ電話が搭載されれば、現場に医者がいなくても指示できることがかなり増えるでしょう。赤外線カメラなどを搭載したドローンを5Gで利用すれば、災害救助や防犯などにも利用可能だと思います。
身近なデバイスも進化を遂げてきていますが、自家用車にSIMが標準装備になれば車から自宅のペットを見守ったり、車にアレクサのような機能が搭載されAIコンシェルジュとして活用されるかもしれません。最近はプロジェクタにもAndroidが搭載されているものが出てきていますが、これにSIMが刺さるとかなり機能的な拡張ができると思います。
新しい技術が出れば、もちろん新しい機能・商品も出てきますので、そういった意味では5Gは未来感のある回線です。これを利用したサービスやデバイスの開発は、間違いなくブルーオーシャンですから、今後どんどん出てくることを期待したいですね。
ただ、やはり5Gやそれらを利用した利便が一般的になるには、数年単位での時間が必要になるでしょう。逆に言うとそれまではMVNOでも十分な場合が多いと思います。
MVNOと5Gの速度比較
MVNOの平均的な速度は10Mbps前後というところだと思います。これは利用する回線や時間帯などでも幅がありますが、au回線はだいたい10Mbps程度は確保できるケースがほとんどです。これはおそらく、ほとんどの人が外で使うサービスを利用するのに問題がない速度です。YouTubeでもHD画質でだいたい5Mbpsが必要速度なので、YouTubeやニコニコ動画なども問題なく見れます。
一方で5Gはエリアによってかなりばらつきがありますが、150Mbpsくらいが平均でしょうか。ただ、本当に場所で速度がバラバラなのでこれが標準とも思いづらいというのが難しいところです。この速度が出ないとできないこと、で言えば4Kストリーミング(30Mbpsは最低必要)くらいですかね。回線速度が必要なゲームでもこの速度は必要ない(30Mbpsもあれば十分な場合がほとんど)です。
逆にもし5Gのスピードをうまく活用した使い方があれば、ぜひコメントなどでお教えいただきたいです。
まとめ
5Gは決して悪いサービスではありません。しかし、その高速を生かせるサービスが一般的には思いつかいないレベルなので、そこにコストをかけるのはそんなに良いとは思いづらい、という感じです。逆にMVNOで十分なケースが多く、高速回線が欲しい場合は光ファイバーを契約して、スマホはMVNOにすると家での利用はパケットを考えなくてよくなります。
もしこれでMVNOや光ファイバーに興味が出た方は以下の記事をご覧ください。参考になれば幸いです。
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