Mixerは日本ではあまりなじみがありませんが、Microsoftが提供する配信サービスです。Mixerは独自の配信技術を持っており、遅延がものすごく少ない、ゲーム向けプラットフォームのストリーミングに特化した技術を持っています。
PUBGやフォート・ナイトをプレイしてる方ならご存じだと思いますが、shroudやninjaがTwitchからMixerに完全移行したニュースは耳に新しい出来事だと思います。その際の二人の契約金は10億~30億といわれています。しかしMixerはFacebookに完全移行し、サービスを終了する運びになりました。ですが二人の契約にその条項は盛り込まれていなかったため、二人はFacebookへの移行を拒否。おそらくTwitchに戻るかYouTubeへの移行をすると予想されています。二人は宝くじに当たったようなものだともいわれています。
MixerがFacebook Gamingに移行するということ
Mixerは技術は高いもののユーザー獲得に悩んでおり、先のトップストリーマーを引き抜いたわけですが、それでもユーザーを獲得できなかった事実を鑑みて、Facebookに連携した形です。つまりMixerは親会社のMicrosoftに損切りされた形とみてよいと思います。
ただ、Mixerのストリーミング技術は非常に高いので、今後Microsoft Teamsに活かしていく方向とのことです。ただ、個人的にはもっとうまい活かし方があるようにも思うし、Microsoftもそこは模索中のようです。
Mixerと新しいストリームサービスとは
これは色々なものが考えられますが、Mixerの通信プロトコルはFTLという方式で、大体DVDくらいの画質を2.5Mbpsのビットレートでストリームした場合、遅延はおよそ0.2秒と言われいます。フルHD、60fps、5Mbpsで遅延が一秒以内という、配信技術はとても素晴らしいものを持っています。そして画質はとても良いです。
実際のところ、YouTubeは最近ユーザーが極端に増えすぎたこともあり、配信環境がやや不安定になっています。少しずつ改善はされていますが、サーバーは増やせても、通信回線の増強は簡単にはいかない、という問題があります。実際、これを機会にYouTube以外の配信サービスに触れた方も多いようです。
一方でZoomは急激なユーザー増加に対し、ストレスを感じさせずにサーバーや回線を増強したのは素晴らしいと思います。MicrosoftはMicrosoft Teamsというビデオ会議サービスを持っていますが、これに技術を活かしていく、と言っています。Zoomと、どう競合していくのかは興味深い点です。
例えば、Co-streamingというMixerが持つ技術で、四人同時に配信するというものがあります。これはビデオ会議というよりはカンファレンスや講演・イベントなどに使いやすい技術なので、Zoomと差別化していくことは可能だと思います。
ただ、もっと明確に活かせるシーンもあると思うので、ここはMicrosoftの資金と技術を活かした新サービスの開発を期待したいところです。
今後のゲーム配信の流れ
今新しく産まれてきている流れは、PCからのゲーム性能の独立です。具体的には、オンライン上にゲーム機能を持ってオンラインでプレイ信号だけをやり取りする、というサービスです。SoftbankがGeforce NOWというサービスを展開していますが、高速回線を持っていればPC側にGPUがなくても高画質のゲームが利用できるような環境になってきています。
これと配信を組み合わせて、配信中に1クリックでゲームを体験できるようにしたり、といったサービスがすでに展開されてきています。MicrosoftもxCloudというサービスを提供していますが、これはXboxでストリーミングでゲームをするというサービスです。Mixerの技術をこちらにも投入予定のようです。
つまり今後、ゲームに関してはPCなどのハードよりも回線環境が重要になってきています。実際、FF15などはPS4ではまともにプレイが難しいレベルに重くなってしまっています。これを打開するには、PCやゲーム機にはそれなりの機能を持たせて、オンラインで処理を行うような形にしないと、そもそもプレイできるユーザー層が少なすぎるとなってしまうからです。
一方で、ゲーム開発会社も平均的なスペックに合わせた開発をしなくてよくなるので、開発に関する悩みが減るというメリットもあります。
今後ゲーム環境は、回線とGeforece NOWのようなサービスがウェイトを占め、Mixerのような技術が活きてくるようになるのではないでしょうか。興味がある方は、ぜひ覗いてみてください。
GeForce NOW Powered by SoftBank
そして配信環境も、ゲームプレイの動画はサーバー側から配信するようになる可能性もあります。もちろんゲーム会社と配信会社との連携は必要になると思いますが、いろいろなメリットが考えられます。ただ、これは私の妄想を多く含むので、割愛します。
まとめ
MixerのFacebook Gamingへの移行は、技術と利益の最大化として面白い一歩だと思います。ゲームと配信は今、少しずつその連携を深めてきていて、より回線の重要性が増してきているな、と感じるニュースでした。
固定回線を見直したい、という方は良ければ以下の記事を読んでみてください。今はもう1G~2G回線は当たり前ですが、NUROのエリアも拡大を急ピッチで進めています。同じ1G回線でも、かなり速度の違いが出ているので乗り換えにはいいタイミングだと思います。良ければエリアだけでも確認してみてください。