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あれこれ解説とか

意外と語られないモニターと機能について解説と比較

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今回は、モニターについてお話していきます。あまり語られることのない部分ですが、仕事でも趣味でも、効率だったり臨場感だったり、いろいろな理由で様々なモニターがあり、その利用の仕方も様々です。

今回は、どういったモニターが、どのような使い方をされているか、何が便利で何が不便か、などをまとめていこうと思います。

デュアルモニターはもはやスタンダード

これは仕事でも趣味でもそうですが、デュアルモニターはもはや当たり前というか、無いとダメなレベルです。やってみればわかりますが、画面が二つあるというだけで、本当に効率が4倍くらい上がります。単純に、片方で調べながらそのままコピペもできるしメモも取れる、作業も勿論できるというのはマジで便利です。

もちろんPC本体側にモニター端子が複数ないとできませんが、今は2つ以上付いているものが多いです。少なくともビジネス機でデュアル以下は、買う価値が無いと個人的に思っています。事務作業、動画編集、お絵かき、プログラム、株取引でも、デュアルにするだけでめちゃくちゃ便利です。逆にそれに慣れていると、モニターが一台しかないとストレスがすごい。

そして最近、こんな製品まで飛び出してきました。

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こちらはASUSが出した、世界初のデュアルモニターのノートPC、ZenBook Duo UX481FLです。もともとはProという一つ上のランクで製品化されましたが、お値段が36万、最高機種で47万円からという高価格モデルでした。

これをZen bookの通常モデルに合わせて発売してきたのですが、これはかなり売れそうです。価格帯も16~20万とかなりおさえました。特徴はキーボード上部にサブモニターがあるのですが、2分割~3分割まで可能です。さらにタッチスクリーン・ペン入力にも対応しており、外出用ワークマシンとしてはかなり優秀だと思います。

Pro版との違いは、グラフィックボードを廉価版にし、6GBから2GBまでダウン、CPUも第10世代のi7へ変更となりました。こちらは外出先でも動画編集などが可能になるくらいのモデルです。この値段とスペックを考えたら、かなり割安になったイメージです。個人的に欲しい一台です。

話を戻して、それくらいデュアルモニターというのは便利なのです。もし今までに使っていたモニターが余っているなら、それを並べて拡張してみてください。1台で作業していたのがアホらしく思えると思います。

もしないなら、今なら1万くらいでもかなりの画質のモニターが購入できます。PCにモニター端子が余っているなら、複数モニターにしましょう。

これくらいで1万~1.2万くらいからあります。

もし端子がない場合、グラフィックボード(安いので十分)を増設するか、USBモニターの利用になります。サブモニタであれば、USBモニタでも十分ですが、高いし画面も小さいです。分配器はミラーリング(同じ画面を出力)しかできないので、拡張(2画面を別の領域として利用する)はできません。一応USBでドッキングするアダプタはありますが怪しいものも多いし高いので、安定して使いたいなら安いビデオカードを刺す方が絶対に良いです。

新品で3000円くらいからありますが、ハードオフとかに行けば型落ち中古がジャンクボックスに500円くらいで転がっています。普通サイズのノートは拡張端子が一つは付いていますがそれ以上の拡張は、外付けのグラボを利用するかUSBモニターになります。デスクトップなら安いグラボ増設のほうが、値段と品質で考えてお得です。

意外と便利な縦置き

二台目、三台目のモニターでたまにあるのが縦置きです。どういった人にメリットがあるか、で言いますといわゆるオタクな方、プログラマの方、人物写真編集をする方などでしょうか。順番に説明していこうと思います。

 

①オタクの方向け

最近はマンガもWEBで読むサービスがかなり増えました。そしてマンガのページは普通縦長です。横長のでディスプレイでそういったものを見ると、横に無駄な余白が当然出ます。これをモニターを縦にして、縦表示するだけで、倍以上の大きさでマンガを見ることが可能になります。

同人系の物だと、わけがわからないほど高画質で描かれた作品もありますが、高画質なものは大きな画面で見てこそ真価がわかります。縦置きのモニターはそういった作品を鑑賞するのにもとても便利、というか楽しいです。

②プログラマの方向け

プログラムのほとんどは、短文を複数行に分けて書くものが多いです。例えばWEBプログラマの方ならCSSを編集する際に、縦置きモニターがあるとめちゃくちゃ便利になります。一度に表示できる行数が多いので、チェックもかなりやりやすくなります。

テキスト画面を縦置きに表示するだけで、一度に確認できる領域が2倍以上に増えるので、かなりお勧めです。

③人物写真編集・スマホ動画

人物写真、というよりも人間を描写したものですね。人間はご存じの通り縦長の生き物です。人間の立ち絵を編集・鑑賞するのに縦モニターは、表示される面積が当然ながら増えます。

スマホ撮影・縦動画も同様で、スマホで縦に撮影されたものを横表示で見ると、小さくなって観にくいというのは誰しも経験があると思います。こういったものを観るときに、縦モニターがあると、めちゃくちゃ見やすいです。たぶん皆さんが想像している2~3倍は迫力が違います。

意外な縦型の汎用性

他にもYouTubeなどのコメント欄を表示したりと、縦置きのディスプレイは、意外な汎用性があります。そのためメーカーも、最初から縦置きを想定したモニターというのを発売しています。とは言っても、普段は横長のほうがメリットがありますので、「縦置きにもできるモニター」という感じです。

もし縦置きも考えるなら、アスペクト比(横に置いた時の画面の縦横比)16:9サイズでなく16:10サイズがお勧めです。これは縦型の表示コンテンツのほとんどが、16:10に近いサイズ比になっているため、実際に縦で使用した場合に表示が大きくなります。ただ、16:10はそんなに多い規格でもないので、予算とかみ合えば、くらいに考えておけば良いです。

そしてサイズ目安ですが、縦にすると結構な存在感が出るので、23インチくらいがお勧めです。縦型にするなら、最大でも29インチくらいです。では縦型モニターの種類について解説していきます。

①スタンド型の回転タイプ


これは本当にそのまま、くるっとディスプレイを回転させて縦にするタイプのモノになります。サイズ比は16:9ですが、回転型としてはスタンダードなモデルで、価格も安いです。このタイプなら普通にも使えるし、縦にしても大きすぎないサイズ感です。

ただ、2台を横にぴったりとくっつけてしまうと回転が出来ないので、少し離さないと回転できません。これを解消するのが次のアーム式です。

②VESA対応モニター+回転式アーム

VESAというのは液晶モニターやテレビなどの映像機器を、壁掛け金具・アーム・スタンドなどに取り付ける際に使うネジ穴の間隔について定められた国際標準規格のことです。こちらに対応したモニターとアームを使うと、フレキシブルに動かせるので縦にも横にも使いやすいというのがあります。

サブモニターをアームで動かせるようにして、縦でも横でも使えるとしておくと、かなり自由度は高いです。ただし気を付けてほしいのが、回転しないアームもあります。回転させたいなら、アームが回転式のタイプを選びましょう。

液晶にも注意が必要なのが、VESAには二つ規格があります。75mmタイプと100mmタイプがあるのですが、マウント(アームと液晶を接続する金具)は基本的に100mmサイズで作られ、75mmにも対応できるように穴を二種類付けたタイプがほとんどです。


こんな感じで、ほとんどの製品は100mmのマウンタが基本で、75mmに対応できる穴が開いた仕様になっています。しかしこれを考慮していない、VESA対応と書いているモニターもたまにあるのです。

こちらはPhilipsのVESA対応のモニタ裏面になるのですが、こちらの穴位置は75mm規格です。しかしこれに100mmサイズのマウントを付けると、端子の位置的にHDMIや電源のケーブルが刺せません。VESA規格のモニターは少し高めのものが多いのですが、こちらのモニターは1万円ほどと激安です。たぶん、VESAアーム・マウント関連でクレームが多いから安いのかな、と予測しています。たまにこういった製品もあるので、もしアームを付けたいなら、モニターを購入する前に、裏面は必ず確認しましょう。入力端子が、アームマウントを付けても刺せるか、絶対に確認してください。アームのマウント、モニターの穴と、端子の位置が干渉しないようにそれぞれ選びましょう。

 

後はアームと机の固定方法ですが、メジャーなのはクランプ式とグロメット式の二つがあります。

 

クランプ式は、取付スペースがあればたいていのデスクに取付可能です。ただ、クランプ式はたまに締めてあげないと緩むことがあるので、個人的には少し怖いです。グロメット式は、PCデスクなどの配線用の穴などを利用して、そこに金具でがっちり止めてしまうので、安定感はグロメット式のほうが良いです。

他にもポールに固定するタイプや、壁に金具を埋め込み、そこからアームを伸ばすタイプなどがあります。壁に金具はかなりがっちり止めるので、安心ではありますが、壁に穴をあける形になります。固定方法に関しては、ホームセンターでパーツを購入し、改造する人も多いです。二台アームに付けるなら、最低でもグロメットタイプにしておかないと(私は)怖いです。

モニターはちゃんとしたVESA対応なら、好みで選んで良いと思いますが、アームはおすすめが以下になります。

エルゴトロン デスクマウント モニターアーム

エルゴトロンはVESA規格の策定にもかかわったメーカーで、人体工学的に使いやすいことを目指して製品開発を行っているメーカーです。他のメーカーに比べて少し高めですが、グロメット・クランプの両対応で安心ですし、安定感はかなり良いです。

ただし、デュアルのダイレクトタイプは2台を連結してしまうので、回転ができません。ダイレクトタイプ以外は回転、それぞれをある程度自由に動かせます。詳しくはメーカーHPで確認してください。

エルゴトロン モニターアーム一覧

アームはサブモニタの一台だけで良いなら、シングルでも良いと思います。

モニターを回転しても、設定を切り替えないと縦表示になりません。デスクトップの何もない部分で右クリックすると、ディスプレイ設定を呼び出せます。そこで拡張(2面別々に使う)・ミラー(2面に同じ画面を写す)・配置(左右)・向き(横縦)などの切り替えが可能です。

システム設定からも可能ですが、デスクトップ画面で右クリックは覚えておくと切替が速いです。

 

ウルトラワイドモニター

これは一画面で横にものすごく長いモニターの事です。例を出すとこんな感じ。

デュアルモニターをつなげただけ、と思うかもしれませんが、意外にこのタイプも人気があります。
それは「一画面ですべてを収める」ことができる、というのがとても大きな違いです。フライトシミュレーターやカーレースのようなゲームは視野角がとても広いので、没入感がまるで違います。

そして内部的にはデュアルとして扱えるので、2画面として表示させることも可能です。見やすいようにカーブを付けたものとストレートのタイプと二種類ありますが、これは好みで良いと思いますが、個人的にはカーブのほうが使いやすいです。ただ、静画編集はカーブで曲がって見えるのでストレートタイプがおすすめ。

ただしウルトラワイド系は、リフレッシュレート(一秒間に何コマ描写できるか)が通常サイズよりも下がってしまいます。反応速度もやや低めに。とはいっても、60fps・5msでだいたい表示できるので、通常の使い方ではまず気にならないレベルです。

ウルトラワイドの一般的な企画としては、29インチ・34(35)インチ・49インチといったラインナップですが、35インチ以下はリフレッシュレートが高いものもあるので、FPSゲームなどでの利用は29・34インチ規格の中でレートが高いものを選ぶとよいでしょう。

買う前に実際に近いサイズを見たほうが絶対によい

ウルトラワイドモニターはネットで購入するほうが安いですが、その前に必ず店舗で同じような実機のサイズを確認をしましょう。皆さんが思っているよりも、ウルトラワイドは大きいです。もちろんお店で買ってもよいと思いますが、詳しい店員さんでも間違っていることよくあるカテゴリなので、私は説明をあてにしていません。

単純にすぐ持って帰れるな、というもので値段の折り合いが付けばお店で買っています。ただ、この手の商品はまず実物サイズを確かめて、一度家でゆっくり考えるタイプのものだと思います。買い替えるには値段も高いし、モニターは処分も割と面倒です。長く使うものですからゆっくり考えていいでしょう。

 

意外と知らない実効画質

 

みなさん画質はとにかく良いものを!と思いがちです。もちろん画質は良い方がいいですが、それが認知できるものかどうか、という視点ではあまり語られません。画質というのは色々な考え方がありますが、その一つに解像度というものがあります。

解像度をわかりやすく言うと、「液晶にどれだけ画面の粒があるか」ということです。画面を構成する粒が多いほど、画質が良いとされます。つまり同じサイズのモニターに、画面の粒がどれだけ詰まっているかの細かさ=解像度、と考えてよいです。

ここで4KとフルHDの解像度を見てみましょう。4Kは(いろいろ規格があります)映画などはDCI 4K 4096×2160、テレビなどは4K UHDTV 3840×2160といった規格になっています。フルHDは、HD規格の上限のものという意味で1920×1080となっています。

しかしここで問題になるのが、小さい画面サイズではその違いがほとんどわからない、ということです。テレビで言うと32インチあたりがその境界で、32インチ以上のモニターで全画面表示をするとさすがにわかりますが、小さいモニタでは4KとフルHDは比較してようやくわかるレベルです。いわんやスマホで8Kと言われても違いはまずわかりません。

4Kなどの高画質コンテンツが少ない

そして4K以上はまだコンテンツとしてそんなに多くない、ということも挙げられます。ブルーレイも2015年ごろから4K対応になってきましたが、それに対応したディスクはあまり多くありません。配信でも4Kが少しずつ出てきていますが、配信の仕組みから、元の映像よりはどうしても劣化が発生します。

本当に高画質なものはブルーレイや、ダウンロードコンテンツ、ゲーム・アニメ(配信でないもの)になってきますし、その総量も多くありませんので、配信を視聴するだけの環境ならば4Kはややオーバースペックではあります。

もちろん高画質なコンテンツはどんどん増えていますし、配信技術や回線の速度も向上していますから、それを見越して買うというのはありです。しかしここ2~3年で4Kが爆発的に普及する、というのも考えにくいです。ゲームユーザーや、アニメをブルーレイで買う人にはメリットがありますが、そうでなければ高画質なものよりも自分に合った利便性を優先するほうが良い、と私は思います。

というのも、4Kの規格も統一がなされていないので、ある程度の世界的な規格が固まってから購入のほうが、品質も良いし安く買えるようになります。現状での高画質を求めて4Kを購入するのも良いですが、特にこだわりがないならフルHDのそこそこのモニターを使っても満足できます。

解像度はあくまでもディスプレイを選ぶ特性の一つで、それが画質の全判断基準ではないということです。

 

モニタの画質を決定する要素とは

では高画質な描写をするためのモニターの機能とはいったいなんぞや、となるとかなり色々な要素があります。ここでは解像度以外の、モニターの画質を決定する性能に着目して解説していきます。

 

①リフレッシュレート・反応速度

いわゆるフレームレートのことです。フレームレートは、「一秒間にどれだけコマを作り出せるか」というPC側の機能で、リフレッシュレートは「一秒間にどれだけコマを切り替えることができるか」というモニター側の機能になります。コマ数という意味では同じなのですが、送信側と受信側で呼び名が違う、くらいに考えておけば良いです。

一般的には60~120あれば十分ですが、FPS系のゲームは170とか出るものもあります。標準的な規格で言えば240が最大と思っていいです。単位はHzとかfpsで表記されます。これが高いほど滑らかに(コマ数が多く)動画を描写できます。

ついでに反応速度についても書いておきます。反応速度は、PCが信号を出してどれくらいのms(1/1000秒)で反応するか、というもので、低いものほど反応が速い、となります。今のは5msくらいの物がスタンダードで、これくらいならゲームでも問題ないですが、中には1msという製品もあります。ただ、この速度を測定する規格がないため、こちらはメーカーが自称しているに過ぎず、正直あまりあてにならないです。普通に使う分には、msは全く気にしなくて良いので、とりあえず先に進めます。

少し特殊なモデルにG-SYNCやFreeSyncというスタッタリングを軽減する技術があり、GPUと連動させてゲーム画面の遅延やフレーム落ちなどを軽減するなどがありますが、ここでは割愛します。ゲーマーの方は調べてみるとよいでしょう。

 

②輝度・コントラスト比

これは画面の明るさですね。単位はcd(カンデラ)と表記されます。カンデラはラテン語でロウソクを意味していて、ロウソク1本の光量をおよそ1カンデラとしています。正式にはもちろん国際規格で厳密に決定されています。

輝度に関しては詳細説明をすると、駆動方式とかいろいろとかみ合ってしまうので、すっごいわかりにくくなります。ので、結論だけ言うと、一般的な蛍光灯の下で使う場合、輝度は250~300cdあれば十分です。これ以上は、まぶしくなってくるのでモニターの光量を下げることが多いです。

コントラスト比も説明しておくと、最大輝度と最低輝度の比率のことです。輝度はマックスの明るさを示していて、コントラスト比は、最大輝度に対して、どれだけ暗い部分を表現できるか、ということを示しています。もちろんコントラスト比が高い方が映像にメリハリが出ますし、いわゆる「黒浮き」も発生しませんが、この言葉がわからない方は気にしなくていいレベルです。コントラスト比は、普通に使う分にはあまり気にしなくて良いです。

ダイナミックコントラスト(拡張コントラスト)、というのはバックライトを最大にした場合の明るさと、バックライトを消した状態の暗さで比較しているので、これをあてにしてはいけません。ほぼ意味ないです。

輝度とコントラストをまとめた規格として、HDR(ハイダイナミックレンジ)という規格があります。これは輝度・コントラストの幅がある一定レベルであることを証明する規格を指し、HDR10というのはその伝送規格になります。モニター側ではDisplayHDR 400/600/1000と機能表示され、数字は最大nit(カンデラと同じ光の単位)を示しています。1nit=1cd/㎡と平米あたりのカンデラの単位になります。

民間レベルで、輝度・コントラストを考えるとDisplayHDR1000は最高レベルと言ってよいものになります。が、多くの場合400/600で十分なことが多いです。一般的なテレビをnitであらわすと、だいたい400くらいなので、よほど画質にこだわらない限り、1000は必要ないです。

③色域

これはどれだけ色を表現できるのか、という範囲を示すものです。標準的なモニター規格としては、sRGBというものをベースに判断します。これをクリアしていれば、そこそこ高画質で一般的に困ることはありません。

上に表示されている色がついた楕円っぽい部分が、「一般的な人が可視できる色の範囲」になります。人によって可視できる色の範囲がこれより広い人もいますし、狭い人もいます。

そして三角形で囲まれている範囲が「その規格が表現できる色の範囲」を示したものです。この中ではProPhoto RGBという規格が一番広いわけですが、この規格でWEBにアップロードすると、エラーになり変な色になってしまうこともあります。そしてこれを表現できるモニターは今のところありませんし、あったとしても世の中の大多数が知覚できない領域まで色を発していることになります。現状は無用の長物といった規格です。

ですから、高画質な写真・動画を扱う人なら「Adobe RGB99%対応」を選べばいいですし、普通の人ならsRGBで十分です。この図には表示されていませんが、Rec.2020という規格もあります。これは色の範囲だけ決定されていて、製品としてはまだないです。これは8K画質の色範囲として決定されている、という未来の規格です。この規格は人間が感知できる範囲内でほぼ最大の色範囲で、今後ここを目標に高画質モニタは開発されています。

映像編集をする方なら、DCI-P3やDisplay P3といった規格もあるのですが、Adobe RGB99%対応の製品とほぼ同じ色範囲と思ってよいです。

他にもいろいろとガンマ特性とか、細かい要素はたくさんありますが、ここでは「一般的な人がモニターを選ぶ簡単な基準」を目指して解説しているので。これ以上は解説しません。

一般的にはsRGB、広色域を目指すならAdobe RGB99%対応を選べばよい、で結論とします。

 

④ビット深度

ビット深度とは、「色を何段階に分けて記録・描写するか」という色調の細かさになります。通常、8bitで記録されたものが多いです。最大表示色と表記されている場合、1677万色が8bitとなります。24bitと表記されているものもありますが、RGB(三原色)が各8bitで、計24bitということになります。最近は10bit(10.7億色)のモノもかなり増えました。動画コンテンツも10bitが増えてきたし、今は値段もあまり変わらないので、財布が許すなら10bitでOKです。

高画質なものにしたいなら、10bit(10.7億色)を選びましょう。

以下、恒例の蛇足。

動画におけるビット深度とは「1ピクセル当りに割り当てるデータ量のこと」を指します。すごい雑にいうと、ビットが多いと色の変化・グラデーションがより滑らかに表示されるようになります。

ビット深度が高いモニターがどういったところで使われるか、というとレントゲンの査読などに使われます。微妙な影の付き方から、ガンかそうでないかなどを判定するには、グラデーションが滑らかな方が査読しやすい(見つけやすい)のです。もちろん、高画質な映像として10bit以上の深度も、映画などで利用されることは考えられますが、現状ではそれを見れるモニターを持った人がいないので、ビット深度は10bit(10.7億色)が一般レベルでは最高だと思っていいです。

10bitモニターも出始めは300万とか500万とかしていました。今は4~5万円で購入可能です。これ以上のビット深度は、医療・軍事・研究の分野では需要があると思いますが、一般的には気にしなくていいレベルです。

 

機能まとめ

モニターの画質を決定する要素として、以下の5つを抑えれば基本的には大丈夫。
①解像度 フルHD(1980×1080)~4K(4000×2000)
②リフレッシュレート 60Hz~120Hzなら一般的、それ以上はほぼゲーム用
③輝度 250cd以上
④色域 sRGB以上 動画・静画編集などを行うなら Adobe RGB対応を
⑤ビット深度(表示最大色) 8bit=1677万色・10bit=10.7億色のどちらか

 

液晶モニターの駆動方式について

液晶パネルの駆動方式は、TN方式、VA方式、IPS方式の3種類に大別できます。これを説明するには液晶の仕組みを簡単に理解する必要があります。

液晶パネル、というのは簡単にいうと「シャッターの絞り」の機能で描写していると思ってよいです。液晶パネルは一番裏側にライトがあって、その上にRGBなどのカラーフィルムが乗っており、さらにその上に液晶パネル(シャッター)が乗っている、というのが簡単な構造です。

ほんでもってその液晶パネルをどれくらい開くか、閉じるかで発色を決定しています。これがすごく大雑把な液晶パネルの仕組みです。先に説明したリフレッシュレートは、毎秒どれくらいシャッターを切り替えるか、という速度のことになります。

液晶の分子をシャッターのように制御しているわけですが、この液晶分子の配置の仕方と動かし方がいくつかあり、これがTN方式、VA方式、IPS方式の三種類になります。

もう一つ、モニターに使われいる技術に有機ELディスプレイがありますが、有機ELディスプレイは素子自体が発光して色を出しているので、明るく・薄く作ることが可能です。ただ、素子自体が発光するので、経年劣化で明るさがどんどん落ちるというデメリットもあります。まだ高価な有機ELディスプレイですが、SONYが頑張って開発しているので、そのうちもっと安く高品質なものが登場する可能性は十分あります。

 

3方式の比較

それぞれに良さがありますが、一般的にはIPS液晶を選ぶのが一番良いでしょう。それぞれにデメリットをカバーする技術が開発されているので、普通に使う分には駆動方式まで考える必要はありません。ただ、トレンドというものは一応あります。

TN方式は、視野角による色変化や輝度変化が大きいというデメリットはありますが、反応速度が速いので、画面の動きが多いFPSなどのゲームによく使われるモニターになります。

VA方式は、黒を完全に表現できるためコントラスト比が高く設計できます。VA方式はTN方式を逆パターンで動かしているような仕組みなので、TN方式とデメリットはほぼ同じです。こちらは反応速度が一番遅いことが明確な弱点になります。明暗がはっきりした映画などを観るときには、黒がしっかりと表現されるのがメリットです。

IPS方式は、視野角が広く色再現性能に優れています。反応速度はTN方式とVA方式の中間ぐらいで、激しい動きよりも鮮やかな色味を表現できるタイプになります。一般的に使うならIPS方式が一番無難で便利、と言えると思います。

少し前まではIPSは反応速度も遅く価格も高い、といった感じでしたが、今は反応速度も240Hzに対応するほど速くなり、人気のため在庫が増え、価格も安くなってきました。これらを考えると今買うならばIPS液晶が一番よいと言えると思います。

ちなみにADS方式というものもありますが、中身はIPSと同等です。開発元が違うために呼び名が違う、と考えていいです。

 

他に選ぶポイントはあるか

例えばフレームレスですね。モニターの周りにある縁の事ですが、フレームがないタイプは横に並べるときにかなり近くにおけるので、視野が良いなどがあります。

現在は画面が非光沢のものがほとんどですが、光沢のあるモデルは画質が良く見えますが、映り込みが激しいので、非光沢モデルのほうが使いやすいです。

アスペクト比(縦横の比率)は、基本は16:9で選べば問題ありません。縦型にするものなら16:10がおすすめ。ウルトラワイドはアスペクト比はあまり考えなくて良いです。

アームを付ける場合は気にしなくて良いですが、高さ調整機能・チルト(上下に振る)調節機能・パン(左右に振る)機能がスタンドについているかはモニターによって違うので、欲しい機能があるかは確認しておきましょう。

入力端子はPCと同じタイプか、は言うまでもないと思いますが、しっかり確認しましょう。

画素ピッチは画素の間の距離の事で、短いほど細かく画素が詰まっています。ただ、現状ではあまり気にしなくて良い部分です。

 

最後に

モニターを選ぶ基準はだいたいこれくらいだと思います。説明し忘れていたら、そのうち追加するかもしれませんが、これを読んだらある程度モニターを選ぶ知識は付くと思います。どれも1項目で数ページくらいになる内容を、すごく端折ってまとめたので、もしわかりにくい部分などあればコメントしていただければ、解説したいと思います。

 

 

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