今回は前回の続きで、安くPCを手に入れる選択肢の一つ、中古PCについて比較・紹介していきたいと思います。ただ、世間的に再生品とリノベーションPCの境界があいまいになっているので、ここでの再生品は初期不良の修理品など新品に近いものを指します。中古PCのパーツ類交換・増設による再生品はリノベーションPCとして切り分けています。
①再生品・アウトレット品
再生品は、初期不良や箱潰れなどで回収されたものをリセールしているものをここでは指しています。アウトレットとか、新装整備品と表記していたりで表記が統一でないのでややこしいです。メーカーさんによっては、アウトレットは再生品のような中古を扱わず、前期モデルの在庫を販売していたりする場合もあるので、一概に言うのが難しいです。
例えば、Lenovoはアウトレットショップがありますが、未開封返品から開封小傷ありまで、表記の上で一緒にオンラインで販売されています。NECの再生品は新装整備品(リファービッシュ・リフレッシュ)の表記で、一部の店舗への委託販売になっており、前期モデルの新品在庫などをアウトレットとして自社サイト販売しています。このようにメーカーによって呼び方も扱いも違います。
ただ、再生品の類はどうしてもメーカーがやっていることがほとんどで、量もあまりないので、比較しづらいし探すのも難しいです。どうしても欲しいPCが決まっているなら、その再生品類を探すのはありです。決まっていないなら、再生品類を選択肢として挙げられるのはLenovoとASUSだと思います。
①Lenovo
中国のPCメーカーですが、IBMという元PC最大手メーカーを買収し、ThinkPadなどの人気ラインナップを継続販売しています。こちらのThinkシリーズの特徴は、でかくて重くて頑丈、という感じです。
Lenovoの現在のラインナップはこのThinkシリーズのほかにビジネスノートPCのLenovo、タブレットとしても使えるマルチモードのYOGA、個人向けノートのideapad、ゲーミングノートPCのLegionとあります。アウトレットで狙うのはLenovo、ideapadあたりです。ただ、こちらは人気なのですぐに在庫なくなりがちです。以下にリンクを張っておきますので、のぞいてみてください。状態別で商品検索できます。
②ASUS
こちらは台湾のメーカーでエイスースと読みます。ASUSはもともとマザーボード(パソコンなどの基盤)の会社がスタートです。SONYやAppleにも部品提供をしています。
最近で特徴的だったのはZen Book Pro Duoという、ノートPCでデュアルモニタというクリエイター向けPCです。以下のリンクから見れますが、これは使いこなせばかなり作業効率あがるだろうなぁというPCです。ほかにもゲーミングノートPCが新品で10万以下で手に入るのはASUSくらいではないでしょうか。全体的にもともと安いのですが、アウトレットになるとさらに3割近く安くなります。こちらのアウトレットは箱不良が多いです。まずはスペックを見てみるとよいと思います。ASUSはアウトレットも通常も、探しやすく比較しやすいです。一見の価値は絶対にあります。
商品の価格と値段バランスでよさそうだな、と思ったらこまめに覗いてみることをおすすめします。見ていただいてわかる通り、再生品は在庫が少ないです。Appleも整備済製品という呼び名でネット販売していますが、安めのラインナップはすぐに売れてしまいます。ですからほしいPCが決まっている、という方は再生品で探すのはありなのですが、安いPC を早く手に入れたいという方には、出会えればいいが狙うよりほかを探したほうが良い、となるケースが多いのです。
PCを探している人のほとんどは、早く手に入れたい人が多いので、再生品は買い替えなどでじっくり探したい人向けになると思ってよいでしょう。ですからここを見に来た人の多くは、BTO(別記事解説に飛びます)か以下の中古PC・リノベーションPCでの購入になると思います。
②リノベーションPC
これは近年になって人気が出てきたタイプの中古PCで、少し前の型の中古PCにグラフィックボードなどを新品で増設し販売するというものです。SSDやメモリを新品にしているところも多いです。PCの故障原因のほとんどはSSD・HDDの故障です。次点にホコリによるショートが多いですね。CPUやマザーボードが壊れることはめったにありません。ですから、分解清掃してメモリやSSDを交換するとかなりの寿命が期待できるのです。これにグラフィックボードを増設し、ゲーミングPC・動画編集PCとして売り出すケースが多いです。
外側は中古だけど、中身の大事なところは新品かつスペックアップになっているので、安く性能がよいPCを手に入れることが可能なのです。少し前の10万くらいのスペックが5万前後で手に入るので、ゲームエントリーのユーザーなどに人気のPCになります。
ただしほとんどの場合、省スペース型のビジネスPCにロープロファイルのグラフィックボードを増設した形なので、拡張がこれ以上ないと思った方が良いです。ゲームを高画質でプレイしたい、スムーズにプレイしたいという場合は、やはり新品のハイエンドモデルになりますし、リノベーションPCをスペックアップしようというのは難しいです。そして、省スペース型は電源が弱いことが多いし、修理するにもパーツが手に入りにくいという事情もあります。
ですからゲームができれば画質などにはこだわらない、という人や動画編集がある程度できればよい(書き出しに時間がかかってもいい)という人には良いですが、画質やスムーズさに重点を置く人にはおすすめはしません。
リノベーションPCは有名どころでいうと、OA-PLAZAになると思います。OA-PLAZAはノートPCの取り扱いもあり、ゲーミング以外もリノベーションしてますが、バッテリーが保証対象外になってしまいます。バッテリーはセルの交換でも結構な値段(だいたい1万以上)してしまうので、ノートPCはお勧めしません。とくに持ち運びを考えているならば、ノートは新品で購入するほうが良いです。
③中古PC
中古PCは基本的に清掃と初期化をして売り出している、そのまま中古という感じの商品です。個人的には持ち運びを前提にしたノートPCは、中古で買うべきではない、と考えています。その一番の理由は先ほども書いたバッテリーです。
みなさんもスマホのバッテリーは5年以内くらいにはへたってしまう(充電量が少なくなる)のは体感的にわかると思います。これはノートPCも一緒で、バッテリーはどうやっても劣化します。そして交換品も高いです。iPhoneのように大量に出回っている製品であれば、正規品以外で安く手に入りやすいです。しかしノートPCのバッテリーは互換もほとんどなく、交換するなら正規品の在庫を買うしかなく、それもいつ製造されたかわからないので、劣化状態もわからないのに高いです。
電源をつないで使うのであれば、バッテリーが無くても稼働するものも多いですが、電源をつないでもバッテリー経由でしか電源供給できないタイプはバッテリーが死ぬとPCの起動もできなくなります。たまにあります。
もしバッテリーを交換するのであれば、セル交換をおすすめします。これは今持っているバッテリーの中身に入っている電池を、新品に交換するサービスです。バッテリーも日々進化しているので、当時の在庫品よりも性能の良い電池にでき、かつ値段も安いです。今のバッテリーの中身を交換ではなく再生するサービスは、ほぼ無意味なので絶対に利用しないでください。自分でセル交換する人もいますが、PCやスマホの電池は扱いを間違うと発火・爆発する恐れがありますので、推奨はしません。
前置きが長くなりましたが、それでも中古PCが欲しいという方にはデスクトップがやはりおすすめです。ノートPCは再生品・アウトレット・BTOで探す方がよいでしょう。
そして中古でリノベーションPCよりも割安なもの、となるとかなり選択肢は狭くなります。というのも中古PCは色々とありますが、高い値付けになっているものも多いのです。コスト的にある程度見合うな、というお店だと以下のようなお店があります。
①リコレ
ソフマップが運営する中古PC・タブレットなどの販売サイトです。状態に応じて値段が付けられていますが、割と適正かな、と納得できるものが多いです。ただしOSなしの(Windowsが入っていない)ものも混じっているので、購入前に必ず再度確認をしましょう。ランク的にはA~Cあたりで見るのが良いです。D・Eは本当にパーツ取りに使うレベルのジャンクですが、その割には高いものが多いです。国産メーカー品の中古はどこも高く、取り扱いをするお店が少ないのですが、リコレはわりと適正な値段が多いです。
②まーぶるPC
東京に実店舗がある中古PCの販売店さんです。一部無料スペックアップも色々とあり、値段も適正・安いと納得できるものが多いです。ビジネス機などがメインで、ゲーミングPCなどは取り扱いが薄いです。普段使いのPCや事務機を中古で手に入れたいという方にはおすすめ。
④ジャンクPC
最後はジャンクPCですが、ジャンクPCは基本的にネット通販で買うものではありません。ジャンクショップで掘り出し物を探すものです。というのも、ジャンクをネットに出すとわりに合わないのです。ジャンクは本当にいろいろありますが、ジャンクヤードで買うと一台3000円前後くらいからあります。しかし台数が数百台、種類もばらばら、スペックや型番などを打ち込んでネットに展示するのは割に合いません。逆にそれで利益を得ようと思ったら、高く出すしかなくなるのです。
そして今は中国人が中古PCを買い付けて輸出しているのですが、店頭で売ってもバイヤーに売ってもあまり価格差がないのです。むしろ台数がまとまっているならバイヤーに売る方が面倒がなく、一気にお金に変わるので、ジャンクショップはだんだんと姿を消しています。例えばジャンクショップを全国展開していたパシフィックネット(PC-NET)も現在は店頭販売していません。これらを理由に、ジャンクをネットで探しても高くなってしまうのでわりに合わないのです。
もしネット経由で安くジャンクを探そうと思ったら、ヤフオクなどのオークションサイトで落札するくらいでしょうか。しかし出品者が正しい情報を書いているとは限らないので、チャレンジするにはハードルは高めです。
それでもジャンクを探したいという人は、ジャンクヤードを探してみましょう。中古PCを買い取りしている個人業者が全国にいます。ヤードにはPCがそこら中に転がっています。一台だけ自分用に買いたい、といえば売ってくれたりしますが、売ってくれるかはその人次第です。私はだいたい3000円~5000円くらいで買っていました。ただし、ノートPCは電源ユニット自体がないので、液晶の確認などはできないと思った方がいいです。
たまに最新に近いくらいのスペックのPCが転がっていたりするので本当に侮れません。新品で20万クラスのデスクトップが5000円で買えたこともあります。ただし、どこが壊れているかわからないことは覚悟しておきましょう。もし修理もできない、使えない、となったらヤードに持ち込めば2000円くらいで買い取りしてくれます。
ではいったいどうやって探せばいいのかですが、廃品回収をしている人に聞くのが一番早いです。もし知っている人がいるなら聞いてみる価値はあります。ヤードも大小いろいろあるので、譲ってくれそうなところにお願いする感じです。ただ、許可の関係などで販売できないケースも多いので、売ってもらえないのが普通と思っておいた方がいいです。
私はジャンクヤードにいくこと自体が楽しいし、それ自体も楽しんでやっていたので、そう思えない人には向かないと思います。東京でもジャンクショップはかなり減っているので、もし近所にあるのなら、あなたはかなりラッキーです。ジャンクショップがなくなりつつある今、ジャンクを探そうと思ったらジャンクヤードが一番可能性が高いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。このように中古PCは新品以上に見る部分が多いので、初心者にはおすすめしません。自分で故障がある程度わかり、修復できる、かつ中古でも問題ないと思える人が手を出す世界です。そうでないなら、再生品、BTO、アウトレットなどで検討するほうが無難です。
次回はリモートなどにおすすめなPCをセレクトした記事を書いていきたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。